雪
2006年 01月 23日
先日の土曜日は仕事だったので、朝早くまだ人が踏みしめていない歩道で降り積もる雪を眺めながら少しぼんやりとたたずんでいた。
こうした時間はとても貴重で、その時だけ日常という枠組みから抜け出て、気付かぬうちに遠い時間、遠い世界にたどり着いた人のように心は虚ろに風景に吸い寄せられていくようだ。
雪の景色を描いた小説の場面はいくらでもあるが、その中でも高行健の『霊山』の一場面が思い出された。
そこではこう書かれている。
心忙しない日常の中でじつはこんな一瞬こそが至福であるのかもしれない。
こうした時間はとても貴重で、その時だけ日常という枠組みから抜け出て、気付かぬうちに遠い時間、遠い世界にたどり着いた人のように心は虚ろに風景に吸い寄せられていくようだ。
雪の景色を描いた小説の場面はいくらでもあるが、その中でも高行健の『霊山』の一場面が思い出された。
そこではこう書かれている。
周囲は静まり返り、雪の落ちる音もしない。私はこの静けさに疑問を抱いた。こんなに静かなのは天国だろう。この感情が欠落した描写はとてもふさわしいように思われる。
喜びもなかった。喜びという言葉は、悲しみがあってこそ成り立つ。
ただ、雪が降っている。
心忙しない日常の中でじつはこんな一瞬こそが至福であるのかもしれない。
by straylight
| 2006-01-23 23:16
| 雑談